水たぎつ吉野宮滝2昨日の続きです。桜本坊に着きました。 ここで、お弁当を食べ、本堂でお寺さんのお話を聞きました。 ここは、興味深い言い伝えがあります。 壬申の乱の前夜、大海人皇子は不思議な夢を見ます。 その日は雪の降る寒い冬だったのに、一面の雪の中に満開の一本の桜の木の夢だったそうです。 翌朝、前方の山を望まれると、一本の桜の木が艶然盛りの色であったそうです。 早速、大海人皇子は役小角(エンノオズヌ)の弟子の角上人に夢判断を命じられた。 上人が言うにはこれは吉祥、必ず殿下御位に登ることであるという。 翌日、大海人の皇子は壬申の乱へと出兵した。 そして、壬申の乱で勝利され、天皇の位に付かれたのでますます、上人に帰依された。 翌年、桜樹の下に寺を建立し桜本坊と名づけ角上人を住職にされ、天武・持統天皇の勅願所とされたといいます。 その時の桜が下の写真です。 持統天皇は在位中に31回も吉野に行幸された。 それは、夫・天武天皇との壬申の乱旗揚げの地・吉野への思いだけではなく、吉野山と吉野川のもつ神秘性に頼ったのです。 道教の神仙思想、聖なる水が命を延ばすという蘇りの思い。 彼女は孫の軽皇子に皇位を無事継承するまで、元気で行きなければならなかったのです。 さて、吉野の山とその源流付近から山を下り川が大きくなる下流までの道のりを歩き始めることにします。 山の中は大変静かで、鳥の声が時々聞こえてきます。 細い道をどんどん進んでいきます。 目の前には、山ツツジ、山百合、シダなどが生い茂り数限りない野の草花が瑞々しく輝いています。 どこからともなく水の音が聞こえてきました。 それなのに、川は見当たりません。 覆いかぶさった草の下から聞こえてくるようです。 歩いていくと見えてきました。 細い水の流れです。 コケもあるので足を滑らせないように気をつけて歩きます。 川になり小さな滝も見えてきました。 これが像の小川(サキノオガワ)の始まりです。 像の小川は万葉集やたくさんの歌にも読まれてる有名な川です。 とっても綺麗で確かに神秘的ですらあります。 そして、またまた歩いて宮滝へと進みます。 宮滝は万葉の昔から数々の歌に読まれた景勝地です。 集落一体が遺跡で、縄文中期、弥生、古墳時代の土器や石器、また奈良時代の瓦などが出土しています。 まさに水たぎつ吉野です。 上流からの河は段々太くなってきます。 直ぐそばは桜木神社です。 たくさんの草花を見ながら下っていきました。 山を下りきると川幅はかなり広くなってきました。 この写真は橋の上から取りました。 真ん中に小さく点のように見えるのが人です。 ついに、国道169号線に出ました。 このあたりは持統朝があったところです。 少し右上が斉明朝、左側が聖武朝です。 宮滝遺跡跡の碑も見つけました。 雨がぱらついてきました。 このあたりの川は天気が良いとエメラルドグリーンに輝くといわれています。 今日はちょっと残念でしたが、また来たいと思いました。 今日一日でたくさんの歴史的に重要なものを見たり接したりすることが出来ました。 道のりは大体、8キロちょっとだったのではないでしょうか。 歩くと気持ちよく、体にもとってもいいです。 家を7時半に出て家に着いたのが7時半、ちょっと12時間の小さいたびでした。 まだまだ、ここに書ききれないほどたくさんの思い出が頭の周りを駆け巡っています。 次回は、吉野の山で出会った茜について書いてみたいと思います。 |